よりよい白血病治療のために
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和田 敦司 先生(がん・感染症センター都立駒込病院 血液内科)

 この度はJALSG Young Investigator ASH Travel Award 2021に御採択頂き、誠にありが とうございました。私は後期研修の4年間、主に同種移植の臨床に携わって参りました。4 年の間に新規薬剤が次々と実臨床に導入され、以前よりも良い状態で移植を受けられる患 者さんは増えたと感じております。しかし、未だ再発や治療関連死は許容できない頻度で 存在しており、臨床で直面する様々な問題に対して、どれ程世の中が解決に近づいている か、Webでの参加ではありましたが、伺い知ることが出来ました。

 急性GVHD診療において現行治療が奏功しているか、治療強度が適切であるか、特に病 態が複雑になりがちな重症例において判断の難しさを感じておりますが、EGF familyを形 成する成長因子の一つであるamphiregulinが治療反応予測におけるバイオマーカーとして 有用であるという報告がありました。治療開始から7日目以降の凍結血漿を用いた解析で あったため、より早期に反応性を予測できるかは不明でありますが、バイオマーカーによ って二次治療が必要な患者層を早期に検出出来れば、GVHDの病態が不可逆的となる前に 、より確信をもって介入できるのではないかという期待感があります。また、この解析で 使用されていたuhCG/EGFの重症GVHDに対する第2相試験の結果も報告されており 、GradeⅢ-Ⅳの急性GVHDを75%含む患者群において完全寛解率が6割と、優れた成績でし た。

 慢性GVHDにおいては、ステロイド抵抗例に対するAbataceptの第2相試験の結果が報告 されていました。肺GVHDを54%含むmoderate~severe例に対して、全奏効率が49%、最 も高頻度に奏効が得られた臓器は肺であったという、非常に意義深い内容でありました。

他にAMLの第一寛解期において同種移植によって利益が得られる患者層を、機械学習を 用いて同定を試みた報告や、中枢原発悪性リンパ腫に対するCAR-T療法の報告など、興味 を引く内容ばかりで、楽しく聴講することが出来ました。残念ながら今回応募した演題は 採択されませんでしたが、日々の臨床で感じた疑問や悔しさを糧にして、ゆくゆくは発表 する側としてASHに参加出来るよう励んでいきたいと思います。この度はこのような機会 をいただき、JALSG関係者の皆様に心より感謝いたします。本当にありがとうございました。
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