よりよい白血病治療のために
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中島 広大 先生(自治医科大学付属病院 血液内科)

 この度、JALSG様にご支援いただき、2021年12月11-14日にアトランタで開催された 2021 ASH ANNUAL MEETINGに参加しましたので、ご報告させていだだきます。COVID- 19感染が世界で猛威をふっており、Webからの参加となりました。現地での熱気を直接感 じられないのは残念でしたが、ポスター発表では高画質で画像をみることができ、ゆっく りと自分のペースで視聴できました。英語の発表内容を1回で理解するのはとても難しい ので、何度も繰り返して発表の動画を見ることができたのは非常に助かりました。発表は 止血・血栓や良性疾患から造血器腫瘍まで幅広いテーマがあり、海外の学会に参加するの は初めてでしたが、規模の大きさを改めて感じました。発表者はもちろん世界各国から集 まっており、京都大学の骨髄腫瘍をターゲットとしたCLK阻害剤のCTX-712の発表など、 日本からの発表も数多くみられました。まだ、私自身は後期研修中で臨床研究を始めたば かりのところではありますが、同じ日本の研究者が世界にむけて堂々と成果を発表してい るのを拝見して、とても誇らしい気持ちになると同時に、プレゼンテーションの構成や質 問への回答など大変参考になりました。

 Plenary Scientific Sessionでは、再発・難治性のLBCLに対する、Axi-celとSOCのランダ ム化比較試験が最も印象に残りました。180人がAxi-cel群に、179人がSOC群に割り付け られ、SOC群の36%が同種移植まで実施されました。primary endpointはEFSで、24.9カ 月のmedian follow upの解析では、2年のEFS率はAxi-cel群で40.5%、SOC群で16.3%と Axi-cel群で非常に高い結果でした。OSにはまだ統計学的有意差はつかなかったものの 。ORRもAxi-cel群で83%、SOC群で50%とAxi-cel群で高くなっています。骨髄腫に対する BCMAをターゲットとしたものなど、CAR-Tは今回の学会でも非常に演題の数が多く、全 世界が注目している治療なのだと感じました。私もこれまで数例のCAR-Tを実際に経験し ましたが、ZUMA-1の5年目の長期解析データの発表もあり、治療した方のOSは42%と報 告されていました。CAR-Tはまだまだ新規治療のイメージがありましたが、世界ではすで に確立した治療になってきているのだと思い知らされました。

 Friday Satellite Symposiaでは多数の教育講演を聞くことができ、現在臨床を中心に行っ ている私にとって、臨床現場へ還元できる知識が得られる非常に有意義な時間でした。と てもきれいなスライドで治療法の選択や流れをまとめてあり、この学会が研究者だけでは なく、臨床現場の医師にも目を向けたものであることが分かりました。その他、興味を持 った発表としては、新規/再発・難治AML患者に対するアザシチジン+ベネクレクスタ+抗 CD47モノクローナル抗体のMagrolimab併用療法の第1/2相試験があり、このような新規薬 剤を用いた第1・2相試験が数えきれないほど報告されていました。

 ぜひ、今後は臨床や研究で得られた知見を世界に向けて発信できるようになりたいと思 います。疑問をつきつめる探求心と、結果を皆に分かりやすく伝えられるコミュニケーシ ョン能力が非常に重要なのだと学びました。最後になりますが、このような貴重な経験を させていただいた、JALSG事務局の皆様、神田教授をはじめ関係者の方々に心より感謝申 し上げます。今回の経験をモチベーションとして、より一層精進したいと思います。
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