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古川 瑛次郎 先生(東北大学病院 血液内科)

 この度はJALSG Young Investigator ASH Travel Award 2021のご支援を賜り、63th ASH Annual Meetingに参加させていただきました。アメリカ血液学会は、血液分野において権威ある雑誌「blood」を発刊されており、その学術集会の規模は大きく、著名な臨床医や研究者が世界中から集まり、最先端の知識を共有する場となります。発表演題についても、造血に関する基礎研究から希少疾患の病態、最先端の分子標的薬や細胞療法、さらにヘルスサービスまで多岐にわたり、発信される情報は、非常に貴重で刺激的なものです。今回はCOVID-19が猛威を振るう中での開催であり、残念ながら現地へは行くことができずオンラインでの参加となりました。しかしながら、オンデマンド配信で多くの講演を何度でも見返すことができ、オンラインの大きな利点のように感じました。

 中でも個人的に興味を持ったものとして、IDH1変異陽性の初発AMLの高齢患者に対する、IDH1阻害薬のivosidenibとアザシチジンの併用療法を行ったAGILE試験の報告があります。この試験では、ECOG PS 0-2の初発AML患者で、IDH1遺伝子変異が確認された、主に高齢患者を対象として、ivosidenib+アザシチジン併用投与群とアザシチジン単独投与を行った試験ですが、CR率はvosidenib群が47%、プラセボ群が16%でivosidenib群が有意に高く、OSもivosidenib群が24か月、プラセボ群が7.9か月と優位に延長していたと報告されました。Ivosidenibとアザシチジンの併用療法は有害事象も感染症発症も比較的少なく、特に高齢患者においても有用であると考えられました。高齢者においては、一般的に全身状態や合併症、染色体結果などを加味して治療方針が決定されますが、標準治療が困難なことも多く予後は若年者と比較して不良です。今後、こうした遺伝子解析やそれに準じた分子標的薬を用いることで予後改善する可能性があることは、非常に刺激的な内容でした。他にも様々な最先端な治療が世界中で開発中であり、視野を広く持って日々の臨床と研究に励んでいく必要があると痛感いたしました。

 今回は残念ながら現地へは赴くことはできませんでしたが、過去論文と照らし合わせながら、自宅でゆっくりと講演をみることができ、日々の臨床や研究で疑問に思っていることの解消するための知識の整理や世界のトレンドの確認することで、臨床・研究ともにモチベーションのアップにつながったと感じています。このような有意義な機会をいただき、JALSGの関係者の皆様には感謝申し上げます。
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