よりよい白血病治療のために
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位田 奈緒子 先生(福井大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科)

 この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2020に採択いただき、62th ASH Annual Meeting に参加いたしました。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中での開催であり、残念ながら現地への出席はかないませんでしたが、今年度から多くの学会がそうであるように、オンラインで自宅にいながらにして世界各国のエビデンスを拝聴することができました。またこれまでの開催様式では発表時間が重なって拝聴できなかった演題も、オンラインでは余さず勉強することができ、新しい学会の開催様式でASHを楽しむことができました。

 現在私は大学院に在学し急性リンパ性白血病に関する基礎研究を行っています。急性リンパ性白血病は近年Inotuzumab OzogamicinやBlinatumomabをはじめとした新規薬剤が登場しており、今回のASHにおいても様々な報告がされておりました。現在日本においてはどちらも再発・難治例に単剤で使用することが保険適応となっていますが、初回治療において、化学療法(hyper-CVAD療法)との併用により高い治療効果を得られることが報告されました。特に同種骨髄移植が適応とならない高齢者において、Inotuzumab OzogamicinやBlinatumomabとの併用により化学療法の減量が可能であり、より安全に高い治療効果が得られると感じました。

 また、今年度のASHではCAR-T療法が発展していることが印象的でした。特に印象的であったのは、ドナー由来のT細胞を用いてCAR-T療法を行った報告です。移植後再発の急性リンパ性白血病に対し、ドナー由来のT細胞を用いたCAR-T療法は完全寛解率94%と非常に高い奏効率が得られ、さらに急性GVHDも増加しなかったと報告されました。この報告内では自身のT細胞を採取できない移植未施行の患者においてはsibling donor のT細胞によるCAR-T療法の可能性も報告され、CAR-T療法のさらなる発展の可能性を感じました。

 血液疾患の進歩だけでなく、現在新型コロナウイルス感染症においてはワクチン接種が始まり、未知のウイルスから人類は身を守る術を発明しつつあります。いつかまた、世界各国の血液内科医と一堂に会しディスカッションできることを楽しみに、私自身も診療や研究に精進したいと思います。最後になりましたがこのような機会を与えてくださったJALSGに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
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