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藤田 浩之 先生(横浜市立大学附属病院 リウマチ血液感染症内科)

ASH2011 ポスター発表報告  横浜市立大学附属病院 リウマチ血液感染症内科 藤田浩之

Abstract 2036: Role of Stem-Cell Transplantation as Salvage Treatment of Acute Promyelocytic Leukemia Initially Treated with All-Trans-Retinoic Acid: A Retrospective Analysis of the Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG) APL97 Study.
Saturday, December 10, 2011: 5:30PM-7:30PM, San Diego Convention Center

背景

ATRAが導入されて以来、APL再発後のサルベージ療法として移植治療の役割に焦点を当てた研究は限られている。
我々は、第2寛解期に同種または自家移植を受けた急性前骨髄球性白血病(APL)患者の予後についての後方視的な解析を行った。

患者と方法

未治療成人新規APL患者を連続的にJALSG APL97研究に登録した。
登録患者はレチノイン酸(ATRA)と抗癌剤で治療を受けた。
302例が登録され、283例が評価可能であり、年齢は15歳から70歳(年齢中央値は48歳)であった。
267例(94.3%)が完全寛解となり、67例が再発した。再発した67例のうち59例が血液学的第2完全寛解(CR2)を得た。
大部分の再発患者は再寛解導入療法としてATRAと抗癌剤の組み合わせレジメンで治療された。
CR2となった59例のうち、27例が同種(21例)または自家(6例)移植をCR2期間に受け(SCT 群)、30例はCR2期間に移植を受けず(no-SCT群)、2例は評価不能であった。
初回再発時年齢は、SCT群の方が有意に若年であったSCT群年齢中央値36歳(22歳-60歳)、no-SCT群は年齢中央値53歳(16歳-72歳)であった(p=0.006)。
第一寛解期間の中央値はそれぞれ、SCT群で21.6ヶ月(5.5ヶ月から80.8ヶ月)、no-SCT群は17.6ヶ月(5.9ヶ月から90.5ヶ月)であった(p=0.751)。
no-SCT群は、第3以降の寛解期に6例が同種(4例)または自家(2例)の移植を受けた。

結果

寛解期に移植を受けた33例では5年OSは、自家移植(87.5%)の方が同種移植(67.3%)に比べて比較的すぐれている傾向にあった(p=0.254)。
SCT群の5年OSは、39歳以下の若年群(n=15; 100%)が、高齢群(n=12; 50%)より有意に良好であり(p=0.006)、2002年以降に移植を受けた群(n=14; 92.9%)は2001年以前に移植を受けた群(n=13; 59.8%)より有意に良好であった(p=0.029)。時間依存性共変数を用いた解析では、5年OSはSCT群70.4%、no-SCT群77.4%(p=0.86)であった。SCT群ではCR2達成後5年以内に6例が死亡している。
その死因は、4例が同種移植後の合併症で、2例(同種1例、自家1例)が移植後再発であった。
逆にno-SCT群ではCR2達成後5年以内に7例が死亡しており、その死因は4例が第2再発以降の同種移植後の合併症で、2例が原疾患の増悪で、1例が心筋梗塞であった。
40歳以上に限って解析すると、5年EFSもno-SCT群(53.5%)が有意にSCT群(24.7%)を勝っており(p=0.04)、5年OSもno-SCT群(72.0%)が有意にSCT群(45.5%)を勝っていた(p=0.04)。

結論

我々の後方視的検討では、高年齢層に限るとCR2の時期に移植を受けなかった患者の方が受けた患者に比べて有意に治療成績が良好であった。
これは、高年齢層は移植関連死亡が高いことと、大多数のケースでATOを使用しなくても再発後の救援治療が適切に行われたことによると考えられる。
現在、救援治療としてATOをルーチンに使用することができ、移植適応外の患者も含めて、再発APLの治療成績はさらに改善することが期待される。

謝辞

本研究にご登録いただき、追跡調査にご協力いただきました各施設の先生方に深謝いたします。
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