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中世古 知昭 先生(千葉大学医学部附属病院 血液内科)

ASH2010ポスター発表報告  千葉大学医学部附属病院血液内科  中世古 知昭

Abstract 3417: Sustained Superior Long-Term Outcomes of Imatinib Therapy In Japanese Patients with Newly Diagnosed Chronic Myelogenous Leukemia In Chronic Phase: Sub-Analysis According to the Mean Daily Dose of Imatinib and the Plasma Trough Levels In JALSG CML202 Study After 66 Months Follow-up
Monday, December6, 2010

Orange County Convention Center, Hall A3/A4 Poster Board: III-196

背景及び目的

イマチニブは初発慢性期CMLに対する第一選択の治療薬として確立され,その標準的治療開始量は400mgである。
標準投与量に不耐容の患者では300mg未満の投与量では十分な効果が得られないことが示されているが,300mg以上の投与で有効性を示す症例がある。
しかし低用量イマチニブ治療の効果に関する大規模な解析はこれまで行われていない。
JALSG CML202試験ではイマチニブ開始用量は400mgであるが,多くの症例が有害事象により減量された。
しかし全奏功率と生存率はこれまでの試験と比較して同等であった。
そこで我々は治療開始後6,12,24ヶ月における平均イマチニブ服薬量が長期成績に及ぼす影響についてサブ解析を行った。
さらに300mgと400mを服用している患者において血漿イマチニブ濃度(Cmin)を測定し,治療効果と生存との相関を解析した。

方法

JALSG CML202試験は初発慢性期CMLを対象とし,イマチニブ治療の奏功率,安全性,長期成績を評価することを主目的に行われた多施設共同臨床第III相試験である。主要評価項目は全生存率で,イマチニブ初期投与量は400mgである。
血漿イマチニブ濃度の測定は液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法によって行った。

結果

2002年から2006年までに489人の患者が登録され,観察期間中央値65ヶ月で解析を行った。評価可能481症例の7年における累積MCyR,CCyR, MMRはそれぞれ 99%,98%,84%であった。観察期間中央値65ヶ月における7年全生存率(OS)は93% (95% CI, 90 to 96)であり,APやBCへの非増悪生存率(PFS)は97% (95% CI, 96 to 99)であった。
細胞遺伝学的効果,分子学的効果に基づいた12ヶ月,18ヶ月におけるランドマーク解析では,それぞれCCyRやMMRを得た症例の無イベント生存率(EFS)は有意に良好であった。
治療開始より24ヶ月におけるイマチニブ平均服薬量が400mg以上の症例(400mg group)は290人,300mg以上400mg未満の症例は108人(300mg group),300mg以下の症例(200mg group)は83人であった。
200mg群の累積CCyR率とMMR率は300mgと比較して有意に低かったが,300mg群と400mg群ではMMR率に有意差はなかった。
3群におけるOSは98%,92% (P=0.09),74% (P<0.0001)であり,EFSは94%,85% (P = 0.010), 62% (P< 0.0001)であった。OSとPFSは300mg群と400mg群で有意差はなかったが,EFSは有意に400mg群の方が良好であった。
IRIS試験の結果と比較して,300mg群においてもOS, PFS, EFSは同等であった。イマチニブ濃度(Cmin)中央値は,300mg内服患者(n=24)と400 mg (n=26)ではそれぞれ1,130 ng/mL (439-2,140),1,035 ng/mL (710-2,420) で有意差はなかった。

結論

これまでの欧米諸国での報告と比較してJALSG CML202試験では有害事象のため低用量服用症例が多かったが,
長期成績の解析では成績は同等であった。300mg群のEFSは400mg群に対して有意に低かったがOSやPFSは有意差なく,
400mg内服に不耐容の日本人患者においては300-399mgの内服は適当である可能性がある。
最適な用量決定のためには血中濃度測定が有用である。
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