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慢性骨髄性白血病

JALSG慢性骨髄性白血病の治療成績

 慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML)は、数年間のあまり自覚症状のない慢性の
時期があり、その後急性 白血病と同じ状態に進展(急性転化といいます)する白血病です。
急性転化後の治療は大変困難なので慢性期のうちに治してしまうか、それができなくても
急性転化を阻止する事が治療の目標になります。

  治療法は大きく2つに分かれ、造血幹細胞移植(骨髄移植)と薬物療法があります。
このうち造血幹細胞移植は現在でも唯一確実に治癒を望む事ができる方法ですが、年齢、ドナーの有無により
その対象となるのは約30%の患者さんに限られます。
一方、薬物療法は、一般の抗がん剤、インターフェロンα、最近ではイマチニブと進歩しており、
特にイマチニブの治療効果は目をみはるものがあります。

  JALSGでは、治療薬としてインターフェロンαが登場して以来、1988年からCMLに対する臨床研究として
一次、二次、三次研究、CML99、 CML202、CML207、CM212、STIM213プロトコール研究を行ってきました。
一次から三次研究、CML202試験は論文化され、CML207試験は現在解析中です。
CML202試験では第1世代チロシンキナーゼ阻害薬イマチニブの画期的な治療成績が示されました。
第2世代チロシンキナーゼ阻害薬を用いたCML212試験、イマチニブ中止試験STIM213は現在進行中です。

1)CML一次研究

プロトコールの概要:
 JALSG、厚生省研究班による最初のCMLに対する臨床研究です。慢性期のCML患者さんを対象とし、
従来のブスルファンという抗がん剤またはインターフェロンαをそれぞれ白血球に応じて連日投与し、その
2群での比較が行われました。

治療成績:
  1988年10月から1991年10月の間に170例が登録され、159例が適格例でした。インターフェロン群が80例、ブスルファン群が79例でし た。インターフェロン群とブスルファン群の比較では、血液学的完全奏効は38%対56%でしたが、フィラデルフィア染色体が完全に消失する細胞遺伝学的完全奏効は9%対3%、フィラデルフィア染色体が1/3以下になる細胞遺伝学的大奏効は16%対5%でした。観察期間中央値50ヶ月での5年生存率は、 54%対32%、5年の慢性期率(急性転化阻止率)は41%対29%と、実質的な奏効率、生存率はインターフェロンαの方がブスルファンより統計学的にも 優れている事が明らかになりました。

特にインターフェロン群では18ヶ月までに少しでもフィラデルフィア染色体の割合が減少するとより生存期間が長くなりました。

この研究はCMLのインターフェロン療法ではしばしば引用される評価の高い研究でした。

(Ohnishi K, et al.Blood 86:906-916, 1995)

CML一次研究における治療成績
図1. CML一次研究における治療成績

2)CML二次研究

プロトコールの概要:
  初診時の白血球数が多い場合はハイドロキシウレアまたはブスルファンで白血球を下げ、その後インターフェロンの投与を行いました。一方、45歳未満の患者でHLA一致ドナーがいる場合は血縁又は非血縁者間造血幹細胞移植を行いました。

治療成績:
  1991年11月から1994年12月の間に90人が登録され、89例が評価可能でした。66人がインターフェロンと化学療法をうけ、23人が造血幹 細胞移植をうけました。インターフェロン群では細胞遺伝学的完全奏効が8%細胞遺伝学的大奏効が20%得られ、6年生存率は55%、6年慢性期率は 46%でした。一方、造血幹細胞移植群23例では14例が血縁者間移植、8例が非血縁者間移植をうけました。5年生存率は血縁者間移植で93%、非血縁者 間移植で22%でした。

(Ohnishi K, et al. Int J Hematol 72: 229-236, 2000)

3)CML三次研究

プロトコールの概要:
   二次研究では非血縁者間造血幹細胞移植の成績が不良でした。そこで造血幹細胞移植の最善の対象と時期を探るため、50歳未満の患者さんについてはHLA一 致ドナーの有無によりインターフェロン療法との遺伝的割り付けをし比較を行いました。50歳以上の高齢の方についてはインターフェロン療法を行いその結果 を解析しました。未治療CML患者さんについて、50歳未満の人はHLAの一致した血縁者がいる場合は造血幹細胞移植、ドナーがいなければインターフェロ ン療法を行い、血液学的寛解に入らない人、細胞遺伝学的大奏効が得られない人は骨髄バンクに登録して、HLA一致のドナーが見つかれば非血縁者間移植を行 いました。

治療成績:
  1995年2月から1999年11月の間に279例が登録され、257例が評価可能であった。145例が50歳未満であり、うち58例に血縁ドナーが あり移植群に、87例がインターフェロン群に振り分けられました。移植群58例中47例が実際に血縁者間造血幹細胞移植をうけました。一方インターフェロ ンα群87例のうち35例が非血縁者間造血幹細胞移植をうけました。インターフェロンα群の6年生存率は50歳未満で76%、50歳以上で61%、6年慢 性期率は77%と47%でした。造血幹細胞移植群の6年生存率は血縁者間で81%、非血縁者間で79%でした。この結果は、非血縁移植に対しDNAタイピ ングなどの導入による治療法の改善により特に若年者では非血縁移植の成績が大きく改善した事を示します。
(ohnishi K, et al. Int J Hematol 79: 345-53, 2004)
CML1次、2次、3次研究におけるインターフェロン療法の治療成績
図2. CML1次、2次、3次研究における
   インターフェロン療法の治療成績
CML2次および3次研究における造血幹細胞移植の治療成績
図3. CML2次および3次研究における造血幹細胞
   移植の治療成績
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図4. CML3次研究における50歳未満の症例の
   治療成績

4)JALSG CML99

プロトコールの概要:
CML99はほぼ三次研究と同様の方法で行いましたが、CML三次研究の結果をうけ、インターフェロン療法の
効果を6ヶ月で評価し、血縁ドナーがいなくてもHLA DNA型一致非血縁ドナーが得られれば積極的に移植を
行う事としました。

一方インターフェロン療法においては、その治療効果を高める為にインターフェロンの投与量、投与日数や
白血球数の目標値を細かく設定し予後を検討しました。
治療成績: 1999年11月から2002年3月の間に168例登録されました。
結果は現在解析中です。

5)JALSG CML202 成人慢性骨髄性白血病(慢性期)プロトコール

プロトコールの概要:
   慢性骨髄性白血病の発症原因とされるBCR-ABL遺伝子のチロシンキナーゼ活性を阻止する分子標的薬メシル酸イマチニブ(STI571:グリベック®)は、日本では2001年 11月に慢性骨髄性白血病(CML)に対し認可されました。

そこでイマチニブの未治療CML症例に対する有効性と安全性の検討を第一とし、一方イマチニブを9ヶ月服用しても十分 な効果が得られない場合は、従来の標準薬であるインターフェロンαまたは経口のシタラビン・オクフォスフェートをイマチニブと併用してその有効性を検討しました。

治療成績:

 20024月から2006年4月の間に489人が登録されました。観察期間7年の長期成績としては、累積奏効率は細胞遺伝学的完全奏効98%、分子遺伝学的大奏効87%が得られ、7年生存率は93%と欧米の大規模試験と同等以上の成績でした。この研究では40%の症例で投与量が1400mgから減量されたため、実際の投与量別の有効性も検討しました。平均400mgと平均300mg群では、生存率に差はありませんでしたが、細胞遺伝学的完全奏効、分子遺伝学的大奏効の累積率は差がありました。一方平均200mg群ではいずれも劣っていました。以上より高齢の女性やイマチニブ標準量に耐えられない場合は300mgでも許容されると考えられました。しかしイマチニブ治療において最善の効果を得るためには、標準量の400mgをできる限り継続的に服用することが重要と考えられました。

     (Ohnishi K, et al. Cancer Sci 103:1071-1078, 2012)


表1.
JALSG  CML臨床研究


プロトコール 登録期間 登録症例数

CML一次研究

1988-1991 170
CML二次研究 1991-1994 90

CML三次研究
1995-1999 279

CML99
199-2002 168

CML202
2002-2006 489


5-2
図5. CML202試験における
イマチニブの治療成績
6-2
図6. CML202試験におけるイマチニブの
初期2年間の平均投与量別治療成績
7-3
図7. CML202試験におけるイマチニブの初期2年間平均投与量別治療奏効率
8-3
図8. CMLに対するJALSG試験の年代別治療法の進歩と治療成績
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