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吉藤 康太 先生(東京医科歯科大学 血液内科) 

 この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Award 2022にご採択いただき、アメリカのニューオリンズで開催されました64th ASH Annual Meetingに参加させていただきましたので、報告させていただきます。

 ASH Annual Meetingへの参加は、4年ぶり2度目で、今回も現地参加をさせていただきました。世界中から多くの臨床医や研究者が集まっており、改めて学会の規模の大きさに圧倒されました。また、多くの口頭およびポスター発表を拝見させていただき、プレゼンテーションや質疑応答など大変参考になりました。

 今回私は、「TPL2, a New Prognostic Factor and a Potential Therapeutic Target in ABC-DLBCL」というタイトルでポスター発表をさせていただきました。ABC-DLBCL、特にMYD88とCD79Bに変異を認めるMCD/C5タイプにおいて、細胞内キナーゼであるTPL2がMYD88およびIKKを介して活性化し、NF-κB経路およびJAK/STAT3経路の活性化を調節し腫瘍形成に関与していることを示し、またTPL2の活性化が予後に関連することを明らかにしました。多くのご質問・ご意見をいただきましたので、現在の研究のさらなる発展につなげていきたいと考えております。

 また、現在私はDLBCLの研究をしておりますので、DLBCL関係の発表を多く拝見させていただきました。その中で、腫瘍微小環境および腫瘍循環DNAの研究発表に特に興味を持ちました。悪性リンパ腫の腫瘍微小環境は現在注目されておりますが、今回の発表ではDLBCLのFFPEサンプルを用いてImaging mass cytometry法によって腫瘍微小環境の解析を行い、シングルセルクラスタリングと細胞コミュニティ解析により5つのパターンに分類されておりました。そして、5つのパターンと、臨床病期や遺伝子異常に基づく分類、特徴的な臓器のDLBCLとの関連や予後予測について言及されておりました。DLBCLは遺伝子異常に基づく層別化治療の有用性が現在報告されてきておりますが、今後腫瘍微小環境の分類に基づく層別化治療により、よりDLBCL患者さんの予後が改善する事を期待すると共に、自らも発展の一端を担えればと考えております。腫瘍循環DNAでは、今年のNew England Journal of Medicineに発表された初発DLBCL患者に対するPola-R-CHP療法とR-CHOP療法を比較したPOLARIX studyでの初発時および1コース治療後の腫瘍循環DNAの測定結果および予後との関連が報告されておりました。初発時の腫瘍循環DNA量がIPIなどの臨床因子や予後と関連があること、1コース治療後での腫瘍循環DNA量の減少割合が予後と関連があることなどが言及され、大変興味深い結果であると共に、現在自身でも希少リンパ腫の腫瘍循環DNAの研究を検討しており、生かしていきたいと考えております。

 最後に、このような貴重な機会を与えてくださったJALSG関係者の皆様に感謝申し上げます。
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