よりよい白血病治療のために
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貫井 淳 先生(横浜市立大学附属病院 血液内科)

 この度JALSG Young Investigator ASH Travel Awardのご厚意をいただき、第61回米国血液学会に参加させていただきました。
はじめての国際学会への参加となりましたが、まずその規模の大きさにたいへん驚かされました。そして、開始時間が大変早い(朝の7時~7時半から最初の講演が始まる)ことにも衝撃を受けました。その7時からの講演にもたくさんの参加者が足を運んでおり、世界の血液内科医の勉強意欲の高さ、熱心さを肌で実感することができました。

 学会開催期間中、朝から晩まで多くの講演・発表を聴くことができましたが、そのなかでも私が最も感銘を受けた講演は学会2日目に開催されたPlenary sessionでした。全部で1万人は入ろうかという最も広いホールがほぼ満員となり、選ばれし6つの演題に参加者が真剣に耳を傾ける雰囲気はまさに壮大で圧巻でした。
6つの演題とも非常に興味深い内容でありましたが、そのなかでも私が特に興味を持ったのは二重特異抗体であるモスネツズマブがCAR-T療法からの再発を含む再発・難治性リンパ腫において完全寛解を誘導したという発表です。日本ではまだ限られた施設でしか実施されていないCAR-T療法の、さらにその再発後の治療成績を展開している内容は大変刺激的でした。

 また、私は多くの時間を教育講演の聴講にあてましたが、特に興味を惹かれたのは急性骨髄性白血病の講演でした。AMLの治療は約30年間、アントラサイクリン系抗生物質とシタラビンを組み合わせた基本骨格から変わっていませんでした。しかし、2017年にFLT3阻害薬のMidostaurinが承認されたのを皮切りに、IDH2阻害薬のEdasidenib、シタラビンとダウノルビシンを混合したリポソーム製剤のCPX-351、CD33モノクローナル抗体のGemtuzumab ozogamicin、IDH1阻害薬のIvosidenib、BCL2阻害薬のVenetoclax、SMO阻害薬のGlasdegib、などわずか数年で多数の新薬が米国で承認されました。米国で承認された新薬の多くは、現在我が国でも開発が進められております。今後、急性骨髄性白血病治療史の転換点に自分自身が立ち会えるのだと思うと非常に胸が高まりました。

 私自身、血液の分野を学び始めてまだ1年足らずですが、理解が深まるに連れてその面白さを少しずつ理解しはじめたタイミングでの今回の機会でありました。世界における血液分野の盛り上がりや最先端の動向に触れることができたことは非常に刺激に富み、日々の診療や研究に向かうにあたって動機づけられるもので大変貴重な経験になりました。

 最後になりますが、今回このような機会を与えてくださった諸先生方及び関係者の方々、留守中の診療を請け負っていただいた先生方に深謝し、学会報告とさせていただきます。誠にありがとうございました。
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