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中原 あや 先生(都立駒込病院 血液内科)

ASH2010 Report  都立駒込病院 血液内科 中原 あや

この度はASH annual meetingに参加する機会をいただき、ありがとうございました。
医師として4年目、血液内科医としては1年目の私にとってASHはもとより海外の学会 自体が初めてだった
ため、緊張しオーランドへ向かいました。実際に参加させていただき、まずは学会の規模に驚き、次に発表
を聞くなかで、臨床試験の患者数 が非常に多いこと、聞いたこともないような新しい薬の臨床試験が行われ
ていることに驚き、これだけ進歩の速い血液内科領域を専門とするならば、世界に目を 向けなければいけ
ないと感じました。
まだまだ血液力も英語力も足りない中での参加でしたが、興味を持った演題について背伸びせずに
報告させていただきたい と思います。


#OralAbstract6: 

Stage Ⅱ~Ⅳの無症候性濾胞性リンパ腫患者において、watch and wait群(A群n=187)とリツキシマブ導入

療法群(B群n=84)、リツキシマブ導入療法+維持療法群(C群n=192)に振り分け比較。

PFS、 新規治療については、B、C群のほうがA群より優れていた。OSに差は見られなかった。


#Oral  Abstract 765 (GHSG HD14):

予後不良因子を有する限局期HDに対する初回放射線併用化学療法として、ABVDx4→radiation30Gy(n=818)と、BEACOPPx2→ABVDx2→radiation30 Gy(n=805)を比較。

Time to treatment failure は併用群のほうが優れているが、OSには差はなかった。毒性(血液学的毒性や

妊よう性含む)は併用群のほうが強かった。

#Oral  Abstract 415:

進行期HDに対する初回放射線併用化学療法として、ABVD(n=404)とStanford V(n=408)を比較。

failure free survivalは有意差なし。血液学的毒性はStanford V群で多い。IPS high群でのサブグループ解析

では、ABVD群でfailure free survivalが有意によかった。

#Oral  Abstract 764 (GHSG15 PET trial): 

進行期HD において化学慮法後の放射線治療の必要性の評価としてのPETの意義を検討するため、

化学療法終了後にCT上2.5cm以上の腫瘤が残存した患者を対象 に、FDG-PETを施行し、PET陽性で

あった患者188名に対しては30Gyの放射線治療を追加し、PET陰性であった患者540名に対しては

経過観察を行った。


 

PET陽性

PET陰性

12か月以内のeventあり

95

89

12か月以内のeventなし

4

11


結果、12カ月後の陰性予測値は94%であり、PET陽性患者のみ放射線治療を受ければよいと考えられる。


#Poster: 
上部消化管GVHD の内視鏡肉眼所見と病理所見の関係を検討するため、同種移植後消化管GVHDが
疑われ十二指腸生検が行われた228症例を後方視的に解析した。結果、内視 鏡肉眼所見と病理所見の
間には関係は認められなかった。
また病理所見で重症もしくは非常に重症GVHDと診断された症例は死亡率が有意に高かった。

#Poster: 
血液学的非寛解期に同種造血幹細胞移植を行った患者の予後因子を解析するため、単施設
40名の
症例の後方視研究を行った。1年生存率は28%、2年生存率は18%であった。
長期生存が得られた患者の特徴として、末梢血中に芽球が存在しないこと、ドナーが兄弟であること、
第一再発期で再発後に無治療で移植を行ったこと、が挙げられた。


 私たち若手の血液内科医は病棟を離れることがなかなか難しく、今回もawardを受賞できたから参加する
ことができた医師も多かったと思います。若いう ちに世界に触れることができるこの企画は大変素晴らしい
企画だと思いますので、ぜひ今後も続けていただけたらと思います。食事会でも普段接することができ ない
ような御高名な先生方と直接お話しすることができ、また同じ志をもつ同年代のドクターと交流することが
でき、とても貴重な場でした。
オーランドでの5 日間は本当に有意義な時間でした。重ね重ねありがとうございました。

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