よりよい白血病治療のために
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山本 渉 先生(大和市立病院 血液内科)  

ASH2009 Report 大和市立病院血液内科  山本 渉

今回,ASH annual meetingにJALSGからの御支援を頂き参加させて頂くことができました.
海外の学会に参加するということ自体が初めての経験であり世界のトップク ラスの血液内科医が集まって
いるという状況に少し緊張してニューオーリンズにおりたちました.しかし参加してみると自分にとって本当に
貴重かつエキサイ ティングな経験となりました.

多くの演題がある中でも,私が楽しみにしていたのはEducation programでした.
急性骨髄性白血病(AML)のセッションでは,治療前の予後因子として,染色体による分類と共に分子学的
な分類が示されていましたが,それ以外に治療後にWT1が2 logより減少すると再発リスクが減少する
(73%対43%)など治療後の予後因子の重要性についても示されていました.また寛解導入療法に関して
は,DNRを45mg/m2から90mg/m2に増やして治療効果の改善が示されるなど,これからもより適切な
治療を模索していく必要性が示されていまし た.慢性骨髄性白血病(CML)のセッションでは,タイトルが
After a Decade of Imatinibとなっており,imatinibだけでなくnilotinibとdasatinibも含めその選択やBCR-ABL
の変異の検査時期など 具体的な診療の進め方に関しても述べられおり今後に生かしていきたいと思いました.

Education program以外で私が注目したのは高齢者に対する寛解導入療法後のAML患者に対する治療の
報告でした.日本からは国立がんセンターの黒澤先生の御発 表で50-70歳のAML患者に対する寛解後治
療としての化学療法と同種移植の比較に関しての報告があり,同種移植の有用性が示されました.
一方で CIBMTR/CALGBの報告では,こちらは60-70歳が対象とはなっていましたが化学療法と同種移植で
治療成績の差は認められていませんでした.高 齢AML患者に対する治療に関しては若年患者に比較して
報告も少なく,治療の選択に難渋することも多く,これからもまだまだ研究が進められていかなければなら
ないのだと再認識いたしました.

これまで目の前の診療において臨床的な決断をどうするかに頭を悩ませるばかりで,実際に分子学的な現
象として何が起きているのかを一歩引いた目で見直してみたり,新しい知見を得るためにはどんな調査が必
要なのかを考えたりすることが少なかったように思います.
今回ASHに参加させて頂いて,最新の知見を勉強するということのみならず,これから先どんな姿勢で診療
へ取り組んでいったらいいか,そして診療以外にも どんなことをやっていく必要があるかを考え直すことので
きるとても良い機会になったと思います.また日々自分が悩んでいることを世界の権威が同じように悩んでい
ることや世界の様々な国で様々な臨床家・研究者が日々頭を悩まして血液疾患の病態解明・治療改善のた
めに努力していることを目の当たりにし,勇気付 けられもしまた自分も頑張らなければと刺激を受けることも
できました.

最後に自分のような若輩者にこのような素晴らしい機会を与えてくださったJALSGの方々,
そして血液内科のスタッフが自分を含めて2人だけという厳しい 状況の中で快くASHに送り出して下さった
大和市立病院血液内科の上司の山崎悦子先生に深謝の意を表したいと存じます。本当にありがとうござい
ました。
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