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浅沼 真介 先生(札幌北楡病院)

ASH2008Report  札幌北楡病院 血液内科 浅沼 真介

この度は米国血液学会に参加する機会を与えて下さり誠にありがとうございました。
私は12月4日に日本を出発し,現地時間の12月4日の昼サンフランシスコ市内に着きました。
ホテルにチェックインした後,学会場であるMoscone Centerに行き,参加登録を済ませました。

翌5日は,Friday Satellite Symposiaに参加しました。
印象に残ったのは(TREATING AML/MDS IN THE ELDERLY:NEW SOLUTION FOR A LONG-
STANDING PROBLEM)です。
この発表では,高齢者AMLの疫学・薬剤耐性・新規薬剤・分子標的治療薬・遺伝子異常などについて言及
していました。高齢者AML は,若年のAMLに比して薬剤耐性の頻度が高いと言われていますが,高齢である
がゆえ造血幹細胞移植や高容量化学療法を行うことは困難です。副作用が少な く効果が期待できる新規
薬剤の登場は,病気に苦しむ患者に希望を与えるものであると感じました。

6日からはEducation and Scientific Programが始まりました。興味深かったのは,AMLの講演です。
APLに関してはAPLの早期死亡を少しでも減らすために,APLを少しでも疑うよ うな症例にはできるだけ
早くATRAを投与することが提唱されていました。またAMLの遺伝子異常に関して言及されており,従来の
染色体異常に基づく予後 分類に影響を与えていくであろうことが予想されました。

7日からはOral Sessionが始まりました。Oral Sessionで印象に残ったのは#56と#158の2演題です。

#56は,急性GVHDの予防として高容量シクロホスファミドを移植後に投与 することが有用であるというもの
です。 シクロホスファミドは移植の前処置には汎用されていますが,day0以降に投与するというのは目新しく
感じました。aGVHD出現時にはステロイドやカル シニューリン阻害薬を用いています。 生着不全は3例認め
られました。前処置は,busulfan(day-7~-3)とCy(50mg/kg/dayをday-2,-1,+3,+4に投与) です。
day100,1年のNRM(non-relapse mortality)はそれぞれ8。5%,16%でした。NRMに含まれる18名のうち
GVHDによる死亡は3例でした。GⅡ-ⅣaGVHD, GⅢ-ⅣaGVHDの頻度はそれぞれ43%,11%でした。
平均観察期間は19か月で,66例(56。4%)が生存しており,そのうちの52例は寛解を維持しています。
57%が移植前非寛解であったことを考えると良好な成績であると感じました。

#158は,MMの寛解導入療法・地固め療法としての,Velcade- Thalidomide-Dexamethasone(VTD)療法
とThalidomide-Dexamethasone(TD)療法の比較です。 寛解導入療法後のCR+nCR 率はVTDで32%,
TDで12%でVTDが有意に優れていました。del(q13),t(4;14),del(17q)等の予後不良の染色体異常を持つ
症例でもVTDはTDを凌駕する成績を示しました。2年PFS,OSに有意差は認められませんでしたが,
興味深い発表であったと思います。

最後に全体を通して印象に残ったことを述べます。日本の学会では,1つのセッションの間殆どの聴衆は
最初から最後まで着席して聴いていることが多いように 思います。ASHでは半分くらいの聴衆は自分が興味
ある演題の発表が終わるとセッションの途中でも退席していました。異文化に触れることができ,非常に貴重
な経験になりました。
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