よりよい白血病治療のために
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白血病の付随研究へのご協力のお願い

はじめに

JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)ではより良い白血病の治療法を開発するための臨床試験を行なっています。
同時に、白血病の原因や病像の解析のための共同研究も行なっています。JALSGの臨床試験に登録された患者さまの、主に白血病細胞を調べさせていただくもので、臨床試験とは別に付随研究と称しています。

白血病の病気の解明のために、JALSGの施設以外、たとえば基礎研究者とも共同で研究を行なうこともあります。白血病は抗がん剤による化学療法や骨髄移植、あるいは分子標的治療により徐々に治療成績が向上しています。しかしながら、全体では治癒に至る患者さんはまだ半数を越えない予後不良の病気です。白血病の治療成績をさらに良くするためには、白血病のことをもっと調べなければならないと私たちは考えています。是非、JALSGの付随研究にご協力をお願いいたします。

白血病はまだ原因が不明な部分が多い病気です

胃がんや肺がんなどの他の腫瘍と同じく、白血病も遺伝子の異常で起こることが分かりつつあります。遺伝子は「遺伝を決定する小単位」で、A、T、G、Cという四つの塩基が連続した長い鎖の構造から成る核酸(DNA)で構成されています。この塩基の配列が遺伝情報となっています。

白血病では多くの場合、未熟な血液細胞に後天的な遺伝子異常が起って発症すると考えられています。通常、この異常は親から子へ伝わる異常ではなく、白血病細胞のみにみられ、体細胞変異と言います。細胞の核の中には遺伝子の鎖の塊であります染色体が46本折りたたまれています。急性骨髄性白血病では約3~4割の患者さまの白血病細胞に染色体の転座がみられます。転座は染色体が途中で切れて、別の染色体と繋がって起るものです。その結果、もともと別々の染色体にありましたふたつの遺伝子が融合した新しいキメラ遺伝子が作られ、白血病の発症の原因のひとつとなっています。

他の患者さまでは遺伝子の小さな異常(点突然変異など)が起こっている場合があります。しかし、まだ遺伝子レベルでの異常が全く分かっていないタイプの白血病もたくさん残されています。また、白血病はひとつの遺伝子異常だけでなく、複数の異常が重なって起こることも明らかにされつつあります。したがって、白血病の原因となる遺伝子異常も全体ではまだ極く一部しか判明しておらず、さらに研究を進めていく必要があります。また、遺伝子のみならず、白血病細胞そのものや、血清、染色体などを試料として調べさせていただく付随研究もあります。

付随研究は将来、白血病の診断や治療に役立ちます

付随研究には臨床的に大きな意義があります。たとえば、白血病のあるタイプ(病型)に固有の新しい遺伝子異常が見つかりますと、遺伝子レベルで正確な診断ができるようになります。白血病と言いましても、その病像や治療の効果は病型によって大きく異なります。染色体異常や遺伝子の異常に基づく分類は臨床像や治療の反応性とよく一致しますので、病型の診断に優れ、臨床的に有用です。

また、遺伝子レベルの検査は感度が高く、1万個から100万個の正常血液細胞の中に1個の白血病細胞が混じっているだけの微少な残存白血病細胞を検出できます。この微少な白血病細胞の残存は後の再発に繋がる可能性が高く、治療を変更する指標となりうるものです。

さらに、このような遺伝子異常は白血病細胞だけにありますので、白血病細胞に特異的な分子標的治療を開発する際の格好の標的分子となります。しかし、付随研究の多くは、その結果が検体をご供与いただいた患者さまの治療法にただちに影響を与えるものではありません。このような白血病の研究成果はその意義が十分に確かめられてから、臨床の現場で活用されるものです。現在、すでに検査として一般に用いられていますものも、元をただせば患者さまのご協力をいただいて、このような付随研究から生まれてきたものであります。私たちは白血病細胞を研究することで、少しずつでも治療を進歩させることを願っています。

付随研究へのご参加をお願いいたします

JALSGの白血病に対する付随研究はJALSG検体保存・付随研究委員会で審査され、幹事会・運営委員会で承認されてから開始されます。また、各病院の倫理審査委員会の承認後に行われます。

遺伝子を用いる研究の場合は遺伝子解析研究の倫理指針に則って行われます。付随研究の内容はJALSGのホームページ上で公開されています。JALSGの付随研究へご協力いただけます場合は、治療を受けられています病院の担当者の説明をよく聞かれ、ご納得いただいた上で同意書にご署名をお願いいたします。

検体保存へご協力をお願いいたします

付随研究へご協力いただけます場合は、当該の研究が済んで残った検体の保存について、病院の担当者から尋ねられると思います。核酸(DNAやRNA)は長期保存が可能です。付随研究での目的遺伝子の検索の終了後も試料は保存させていただき、新たな研究へ活用させていただきたいと存じます。

これは将来新たに重要な遺伝子異常が見つかったときに、保存させていただいた患者さまの検体での検索をお願いするものです。この際も新しい付随研究につきましてはJALSGの審査および各病院の倫理委員会の承認後に開始されます。JALSGホームページ上でも新しい付随研究の開始をお知らせいたします。ホームページを見られて、残った試料を用いる新しい付随研究に該当される方で、もし、その付随研究への参加を希望されない場合は不参加のご意思を病院の担当者へご連絡ください。試料が保存された後でも、患者さまのご意思で付随研究への同意をいつでも撤回することができます。

研究から治療へ

最近、慢性骨髄性白血病の治療薬としてグリベックが登場し、目覚ましい治療効果を示しています。
グリベックは慢性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病で認められますフィラデルフィア染色体を
持った白血病細胞を特異的に攻撃する分子標的治療薬です。

私たちは可能なかぎり白血病の新しい分子異常を見つけて、診断や治療法の選択へ役立て、また将来の新しい治療の開発へ結びつけたいと願っています。どうぞ、JALSGの白血病に対する付随研究へご協力くださいますようお願いいたします。


2006年10月
JALSG検体保存・付随研究委員会
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