よりよい白血病治療のために
HOME >> 海外学会報告 >> ASH参加報告 >> 2015年 >> 川島 雅晴先生(東京慈恵会医科大学附属病院 腫瘍・血液内科)

川島 雅晴先生(東京慈恵会医科大学附属病院 腫瘍・血液内科)

東京慈恵会医科大学附属病院腫瘍・血液内科 川島 雅晴

   この度はJALSG Young Investigator ASH Travel Awardに採用していただき、誠にあり
がとうございました。2015年12月5-8日にオーランドで開催された米国血液学会に参加
させていただきました。私は初の海外学会で、また特に世界各国の人たちが集まり血液領域
で規模の大きい当学会に参加できることが、待ち遠しい毎日でした。実際行ってみると国際色
豊かな人々、広い会場、熱気のある雰囲気など刺激を受ける日々で、内容もとても充実
しておりました。以下とくに印象深かった項目について記載します。

  教育セッションでは多発性骨髄腫(MM)の講演が印象的でした。血液領域の中でも進歩
著しい分野であることもあり、特に人数が集まっていました。日本では最近は
Pomalidomide、Panobinostatと効果の期待できる新薬が使用できるようになり、更に第2世代
プロテアソーム阻害薬のCarfilzomibの近々使用できるようになります。今回の講演では
将来的に日本でも承認されることが期待されるDaratumumab、Elotuzumabなどの抗体薬が
Lenalidomideとの組み合わせで良好な成績を出している話を聞き、今後MMは次々と新薬が
導入されることで、至適な寛解導入・地固め・維持療法・移植の方法が日々変わっていくで
あろう分野であり、患者さんをみる上でも日々知識を最新のものにしないといけないことを
実感しました。

  プレナリーセッションではCD20陽性Ph陰性前駆急性リンパ性白血病( BCP-ALL)
に対して、化学療法にRituximabを加えた際に加えない場合と比べ、EFSが前者は65%に対し
後者が52%と、Rituximabの上乗せでEFS延長を認めたというGRAALLグループからの報告が
印象的でした。BCP-ALLでCD20陽性率は30-50%と言われています。Rituximabというリンパ腫
で私自身使い慣れている薬であり使用する事で起こる毒性プロファイルが予測もでき、
今後標準的に用いれるようになることが期待されました。

  FLT3変異急性骨髄性白血病(AML)に対する化学療法+Midostauriinの寛解導入療法、
地固め療法、維持療法への有効性・安全性を評価したDana-Faberからのランダム化第III試験の
報告も印象に残りました。FLT-3変異を有する初発AML患者で標準治療にMidostaurinを追加し
1年間の維持療法を行うことでOSとEFSの改善を認め、また安全性も担保されるという
結論でした。APL以外のAMLは抗癌剤加療だけでは再発が多いことが課題ですが、今後AML
でも新規薬剤の導入により治療成績の改善が望めるようになることが期待できることを
感じた演題でした。

  全体的に多くの演題が印象的でありとても有意義な学会となりました。このような
貴重な機会をいただくことができとても感謝しており、今後の臨床及び研究に生かして
いきたいと考えております。ありがとうございました。