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安藤 弥生先生(NTT東日本関東病院 血液内科)

ASH2014参加報告 NTT東日本関東病院血液内科 安藤 弥生

第56回ASH Annual Meeting and Expositionに参加するに当たり、JALSG Young Investigator ASH
travel Awardに選出いただき、誠にありがとうございました。国際学会に参加することは初めてであり、
日々の仕事の合間にprogramを確認しながら、緊張と期待を胸に秘めて出発いたしました。

 会場の規模の大きさは想像以上であり、同時に、世界各国からさまざまな人種の方が参加されており、
中には民族衣装を身にまとった方もおり、各国の宗教を背景とした文化環境の違いから、それぞれの
国の臨床現場は日本とは全く違った環境なのだろうと、想像を膨らませていました。

 そのような場での各先生方のご発表は、これまでの知見の確認から最新のデータまで、非常に充実
したものばかりでした。
中でも私が興味をもったのは、ホジキンリンパ腫と免疫応答に着目した、抗PD-1抗体(Nivolumab)の
sessionでした。生体では、宿主のT細胞はprogrammed cell death-1:PD1と言われる免疫応答によって、
腫瘍細胞を攻撃するメカニズムが働くそうです。ホジキンリンパ腫のRS細胞は、PDL1やPDL2と言われる
蛋白を発現して、T細胞のPD-1受容体と結合することで、それらの攻撃から回避し、腫瘍性に増殖すると
言われています。Nivolumabは、その点に着目し、T細胞のPD1受容体と結合することで、腫瘍細胞への
免疫学的な攻撃を持続させるものでした。複数の前治療歴がある患者集団でも、奏功率は87%で、
17%がCRを達成しており、今後のホジキンリンパ腫の治療に大きく貢献するであろうと期待されます。

 その他、日本で臨床に携わっているだけでは得られにくかった知識や経験をすることができ、年代が
近い若手の先生方の発表もあり、向上心がかき立てられる場面もありましたが、一方で、国際の場では
コミュニケーション能力の障壁が高いとも実感しました。一般的にアジア諸国の中でも、日本人は特に
世界と意思疎通し合うという点では、発展途上と言われることがあります。私の場合は、国際学会のよ
うな情報量の多い場にいても、本来であれば得られるだろう情報の半分程度しか入ってこない感触が
ありました。これは国際学会に参加したからこそ、気がついた点です。医師として進歩するには、医学
のみならず、コミュニケーション力も磨いていく必要があると実感しました。

 最後になりましたが、このような有意義な学会への参加をサポートいただきました、JALSG支援機構の
諸先生方ならびに事務局のみなさまに心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。