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鈴木 一史先生(東京慈恵会医科大学附属病院腫瘍・血液内科)

ASH2013Report 東京慈恵会医科大学附属病院腫瘍・血液内科 鈴木 一史

 JALSG Young Investigator ASH Travel Awardに採用していただき、2013年12月7〜10日ニューオリンズにて開催された米国血液学会に参加させていただいたので、とくに印象深かった報告について記載する。

  教育講演ではとくに慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病についての報告が印象に残った。慢性リンパ性白血病は日本で病棟勤務が中心となる私にとって縁遠い疾患であるが、まれに進行し多少例を経験する。自家移植非適応の多発性骨髄腫患者と同様に、遺伝子異常(del17p)の有無と患者の全身状態や合併症により、GO-GO、SLOW-GOに分類し治療戦略を考えていくことは、緩徐に進行し高齢者に多い造血器腫瘍における一般的な概念になっていく可能性があると考えた。また、GO-GO患者でdel17pを有する場合同種移植を考慮することは、慢性リンパ性白血病を多く経験する欧米においては一般的であると考えるが、私にはとても新鮮であった。

急性骨髄性白血病の教育講演では、CBF-AMLでkit遺伝子変異陽性の症例に対して、寛解導入療法にdasatinibを併用した臨床研究が実施されていること、CD33強陽性急性骨髄性白血病に対して、寛解導入療法にGemtuzumab Ozogamicinを追加した臨床研究で、従来の寛解導入療法群と比較して全生存期間が有意に延長したことが報告され、急性骨髄性白血病に対しても分子標的薬を併用した治療が開発されていることを実感した。

  プレナリーセッションでは未治療自家移植非適応多発性骨髄腫に対するFIRST試験の結果が印象に残った。同試験はMPT療法、Ld療法18ヶ月、Ld療法を病勢進行まで継続の3群間を比較した大規模臨床試験であるが、Ld療法を継続する群で無増悪生存期間が延長すること、MPT療法との比較ではLd療法継続群で全生存期間が延長すること、二次発癌は3群間で有意差がないことが示された。NEJMに報告されたMP療法、MPR療法、MPR−R療法を比較した検討の結果も考慮し、Ld療法18ヶ月後からlenalidomide維持療法に切り替えることで、どのようなインパクトがあるかが気になるが、これは現在計画中であるMLN9708とLd療法を併用したIFM2013-07試験の結果が待たれる。

   一般講演では多発性骨髄腫のセッションに興味深い報告が多かった。未治療自家移植非適応多発性骨髄腫患者に対する「VMP療法=>Ld療法の連続療法」と「VMP療法=>Ld療法=>VMP療法…の交代療法」を比較して、交代療法で末梢神経症が少なく、良好な治療成績を認めたことは印象深い。一方で、交代療法が不応であった場合、同日新規薬剤を2つ失う危険性も大きいと考えた。

  上記以外にも多く印象に残った報告があった。とても実りのある学会であった。この度は、このような機会をいただけたことに深く感謝し、今後の研究、及び臨床に生かしていきたいと考えた。この度は、誠にありがとうございました。