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栗原 太郎先生(長野赤十字病院血液内科)

ASH2013Report 長野赤十字病院血液内科 栗原 太郎

 この度、NPO法人-JALSG Young Investigator ASH Travel Awardに採用頂き、ニューオーリンズで開催された第55回アメリカ血液学会(ASH)に参加させて頂きました。海外の学会に参加するのは初めてでもあり、そのスケールの大きさに圧倒されてばかりの学会会期中でしたが、印象に残った講演などの内容もまじえて報告させて頂きます。

 Education ProgramやMalignancyのセッションを中心に会場を回りました。とにかく巨大で様々な国の人たちが集まり、会場はすぐに一杯になり熱気に満ちていました。会場で笑いが起こるときに全く笑えていない自分もいましたが、理解可能な部分やスライドを見ながら講演内容を追いとても刺激的で勉強になりました。

 Education Programではrelapsed/refractory FLT3/ITD AMLに対するinhibitors(Quizartinibなど)の報告や、Plenary sessionでは、第3相試験で合併症のあるCLLに対するObinutuzumab(GA101)+Chlorambucil(Clb)とRituximab+Clbの比較でGClbレジメンが有意にPFS,CR率を改善させたという報告がありました。そのほかのEducation Programでも分子標的薬が取り上げられていることが多く、分子標的治療薬があらゆる疾患群で、今後の治療の根幹をなし、その研究も急速に進んでいるのだなと感じました。
FLT3inhibitorsについてはTKIのように寛解導入などの治療に組み込まれ、治療成績の改善が期待されていることも印象に残りました。全体を通して日本では現状では使用できない薬剤での治療報告が数多くみられ、研究規模も大きなものだと思いました。

  オーラルセッションの講演内容はどれも素晴らしい内容のものばかりだと思いましたが、個人的に一番感動したのはE.Donnal Thomas Lecture and Prizeの講演でした。基礎的な内容も多く基礎研究を行ったことの無い私には難しい部分もありましたが、基礎から臨床への応用、gene therapy という画期的な治療方法(主に血友病Bへの治療が取り上げられていました。)がここまで臨床応用され始めていることや、遺伝性網膜変性疾患を羅患し歩行もままならなかった小児がgene therapy後に自分の足取りで歩行する動画には非常に驚きました。

 最後にこのような機会を頂き、関係された先生方、事務局の方々に深く御礼申し上げ、今後の自分自身の診療や将来に、この貴重な機会を活かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。