よりよい白血病治療のために
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高井 美穂子先生(福井大学 血液腫瘍内科)

ASH2011Report  福井大学血液・腫瘍内科 高井美穂子

 この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Awardに選考いただき、2011年12月10日から4日間、
カリフォルニア州San Diegoで行われた第53回米国血液学会総会に参加することができました。
この場をお借りして、選考してくださったJALSGの諸先生方、およびスタッフの方にお礼申し上げます。

 今回参加させていただいたASH annual meetingは私にとって初めての国際学会でした。
非常に規模が大きく、多国籍のかたにより世界中から科学的、医学的な発表が集まっているのが
印象的で した。今は血液学的知識も英語力も不足していますが、血液を専攻している者としては、
一度は発表したいと思う大舞台だと実感いたしました。特に、今回は日 本からplenary sessionに
選ばれるという名誉を身近に感じたこともあり、今後の目標にしていきたいと思いました。
 ASHでは白血病(AML)、リンパ腫、骨髄腫、MDS、移植に関する教育講演、oral session、
poster sessionを回りました。どの分野でも、臨床試験の規模が大きいこと、たくさんの新規治療薬の
臨床試験が進んでいること、詳細な解析が行われていることが圧巻でした。
こころに残ったトピックとして簡単ではありますが、報告いたします。

・AML 
多数のTET2、TP53、DNMT3A、CEBPA、NPM1、 RUNX 、CBF mutationが予後因子モデルとして
解析され、推奨治療法も明らかにされてきていました。FLT3変異は第一寛解期における移植でも
予後改善はみとめ られないが、RUNX変異は予後改善が認められるなど明解であり、今後の治療法
選択の際にいかにgenetic解析が重要かと参考になりました。高齢者に おいて、BSCやlow dose AraC
よりはDecitabineにおいてOS、CRが良好な結果であったことは、有益であると思われました。

・多発性骨髄腫 
レナリドマイドの維持療法が推奨されること、65才以下では早期に移植を行うことで著明にPFSが
延長することが確認されました。また、Elotuzumab, Carfilzomib, Pomalidomideなど、現在実用化
されている薬剤よりも多くの新規薬剤が治験中であることも印象的でした。

・MDS 
国内の発表と異なり、5q-症例が多いと実感し、5q-へのLen の有効性も確認されました。
さらにLenが5q-がないMDSに対しても特に赤血球系に有効性があるということは、今後の適応拡大にも
有益な報告でした。 またAZAが、blast20~30%のAMLでの有効性が認められたことは良かったと思い
ました。
また、responseが緩徐であること(6 cycleで87%の反応)は繰り返し強調されていました。Len、VPAなど
との併用療法も検討されており、今後に期待できるところだと思いました。

移植に関して 高齢HLA match sibling よりもmatch unrelated donor(30才以下)が有意に生存率が
よいというのは、今後のドナー選択の際に考慮していきたいところでした。

・化学療法時の妊孕性保持について 疾患別に薬剤別不妊率程度が示されたり、 妊孕性保存法の
各手段、さらに不妊予測因子まで基礎的なことから勉強するいい機会になりました。
不妊に関して相談窓口が整えられていて、化学療法前に速や かに対応してくれる患者-医療者の
ネットワークには感銘をうけました。

 最後になりますが、待っていてくれた患者さん、忙しい中でも快く送り出しだしてくれた当科のスタッフにも
深謝します。臨床・研究ともに今回の経験を役立 てて、頑張る決意を新たにする機会となりました。
Awardの他病院の先生方や、ご高名な先生方と楽しいお食事会ができたこともいい思い出になりました。
ありがとうございました。