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坂本 佳奈先生(自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科)

ASH2011Report  自治医科大学さいたま医療センター血液科 坂本佳奈

この度、JALSG Young Investigator ASH Travel Awardにより研修費補助を頂き、2011年12月10日から
13日にSan Diego Convention Centerで開催された53rd ASH Annual Meeting and Expositionに
参加させていただきました。
このような貴重な機会を与えて頂き、誠に有難うございました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 私にとって初めての海外での学会参加となりましたが、予想以上に広い会場と、充実したプログラムに
心が躍りました。興味深い演題が並んだ教育講演は、同 じセッションが期間中に多くは2回行われるため
いくつも聴講でき非常に勉強になりました。
一般口演では、臨床系を中心に拝見しましたが、大規模スタディー の結果が目白押しでとても贅沢でした。
ポスターもレベルが高く、この内容でも口演ではなくポスターなのかと思うほどでした。
また、AbstractがUSBで配布されており重い冊子を持ち歩かなくてよかったこと、本年度から日本血液
学会総会でも導入されていたようなスマートフォン等で利用できるアプリ ケーションでスケジュール管理が
できたことも、利便性が高く効率的で印象に残りました。

 Plenary sessionでは、高齢者未治療de novo AML患者に対し、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO)の
低用量分割投与を標準化学療法に併用することで2年無イベント生存率、全生存率が有意に改善し た、
というフランスのグループから示されたphase 3 study (ALFA0706 trial)の結果が印象的でした。
対象は50~70歳のde novo AML患者280人で、DNR+AraCのみで寛解導入を行うDA群と、
それにGO 3mg/m2/dayをday1,4,7に追加するDAGO群に割りつけられ、CR/CRp達成者にはDNRと
AraCを用いた地固め療法が2コース行わ れ、DAGO群ではday1にGO 3mg/m2が加えられていました。
CR/CRp達成率は80%程度で有意差はなし、2年EFSはDA群で16.5%、DAGO群で41.1%と有意に
DAGO群で勝り、OSもDAGO群で有意に延長を認めていました。ただし、サブグループ解析では、
細胞遺伝学的リスク別でみると予後不良の患者群では EFS、OSの改善効果は認められませんでした。
治療に関連した致死的有害事象、肝毒性の出現率に両群で有意差はありませんでしたが、血小板減少の
遷延が DAGO群で有意に多くみられました。肝VODは3例、DAGO群でみられました。
今後のGOの適切な対象患者やタイミング、用量について示唆する重要な 報告であったと思います。

 教育講演では、ホジキンリンパ腫のセッションやaggressive lymphomaの新規治療薬・マネージメントの
セッションが、それぞれ教育講演で聞いた内容と関連する一般口演も続けて聞くことができたこともあり、
特に印象に残っています。他に口演では移植関連の発表も聞きましたが、MDSに対する同種移植前の
アザシチジン使用のインパクトに関する解析、日本からの extranodal NK/T cell lymphoma, nasal typeに
対する自家移植と同種移植のデータの解析、リンパ系腫瘍に対する同種移植の前処置にベンダムスチンを
組み込んだレジメンについての報告など、 様々な興味深い演題がありました。
 
 全体を通じて得た反省点としては、背景の知識がもっとあればより深く理解もでき、
的を得た質問・疑問も浮かんだだろうと思われることが挙げられます。日 頃から日常臨床の中で生じる
疑問を大切にすることで、理解を深めたり、時には新たな研究の種が生まれたりするのだと感じました。
また、英語を理解することにかなり集中し、短い発表時間のうちにしっかり自分の中で内容自体を理解・
消化するところまで至らないことが多かったので、その点に関しても訓練を重ねる 必要があると思います。
 
 今回、学会そのもの以外でも、懇親会の機会を設けて頂き、同年代のAward受賞者の皆さんやJALSGを
中心となって動かされている御高名な先生方と お話できたことも非常に有意義で楽しい思い出となりました。
次は是非発表者の立場で参加したいというモチベーションを維持して、今後の診療に役立てていきたいと思います。
末筆になりましたが、貴重な経験をさせて頂いたJALSG関係者の皆様、そして快く送り出して下さった
病棟の先生方、患者さん、皆さんに重ねて御礼申し上げます。