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森下 喬充先生(安城更生病院 血液内科)

ASH 2011 report  愛知県厚生連 安城更生病院 血液・腫瘍内科 森下喬允

 この度は、JALSG Young Investigator ASH Travel Awardにて2011年12月10日-13日の期間で
開催された第53回ASHに参加する機会を頂き、この場を借りて御礼申し上げます。
過去、多くの先 生方が述べられているようにASHのスケールの大きさ、エネルギーに圧倒されました。
アメリカ、カリフォルニア州の南端でメキシコとの国境に位置する San Diegoは人口120万人程度の
大都市です。そんな大都市ですが、ASH開催期間中ともなると空港、ホテル、もちろん会場周辺の
どこに行ってもASHの 鞄を持った人を見かけることができるという規模です。
参加する人種、国籍、業種も様々で、どの人も聡明な雰囲気を持っており、その場にいるだけで
自然と刺 激を受けました。

 発表内容もスケールが大きく、臨床試験においては多国間、多業種間の連携による前向き試験が
多く発表されました。また、続々と開発される、日本ではまだ 未承認の新薬とその効果についての
発表がなされておりました。以下、一部ではありますがご紹介させて頂きたいと思います。

Educational Program
# ゲノム世代のAML 
以下につき、推奨される治療法の報告がありました。IDH、TET2、DNMT3、WT1に関してはまだはっきり
とした事が言えず議論の余地があるとのことです。

① CBF AML 
(ア) HD-AC の反復投与
(イ) 一般的には同種造血幹細胞移植の移植対象ではない
(ウ) 高齢者に対してintensive therapyのbenefitがありそうである

② FLT3-ITDmut
(ア) 予後不良因子
(イ) 予後中間群として治療する→HD-AC投与、同種造血幹細胞移植の適応症例

③ NPMmut/FLT3-ITDwt 
(ア) conventionalな地固め療法(HD-AC)が推奨される。CR1での同種造血幹細胞移植の適応はない
(イ) 高齢者のNPM+患者に対してintensive therapyはbenefitがある

Plenary Session
#6 50-70歳の初発de novo AML患者に対するDNR(60mg/m2/day×3days)+AraC(200mg/m2/day×
7days) Vs  DNR+AraC+GO(3mg/m2/day×day1,4,7)のPⅢ randomized study。
【結果】
GO追加群で2yEFS(16.5% Vs 41.1% P=0.0018)、2yDFS(18.1% Vs 48.5% P=0.0009)、
OS中央値(19.2Mo Vs 34.0Mo P=0.030 )が有意に優れていた。敗血症やVODによる死亡数に有意差
は見られなかった。
 強い血液毒性や肝障害(VOD)で知られ、その合併症の多さに比しての治療効果の不十分さからFDA
では認可が取り消されたGOの可能性を示唆する発表 でした。GOの今までの投与法である9mg/m2/day×day1,15を低容量で3分割に投与することで毒性の低下と優れた治療効果を得うるという意 義深い
発表だったと考えられます。

Oral Session
#160 MDS症例、470例における同種造血幹細胞移植前のAzacitidine投薬について(retrospective study)。
【結論】
Azacitidineの使用は同種造血幹細胞移植前のdown-stagingには有効であるが、
Azacitidine +chemotherapy群の成績は芳しくなく、Aza単独群においては有効性があると考えられた。
chemo追加群では毒性増加や治療抵抗性の症例が 多く含まれたことが要因であると考えられた。
 日本においても近年、保険承認されたAzacitidineの可能性を示唆する発表でした。
移植成績に関しては、はっきりとした結論は出ませんでした が、移植前のdown-stagingの効果は
証明されました。JMDPを介してのドナーコーディネートには最低でも2-3ヶ月ほど要することが多く、
その期間にAzacitidineを施行する意義があると考えられました。