よりよい白血病治療のために
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山本 好美先生(横浜市立大学部附属病院 リウマチ・血液・感染症内科)

ASH2010 Report 横浜市立大学附属病院 リウマチ・血液・感染症内科 山本 好美

このたび、JALSG Young Investigator ASH Travel Awardに選出してくださり、第52回米国血液学会(ASH)
に参加させていただきました。大変貴重な機会をいただき誠にありがとうございます。簡単ではありますが
ASHに参加した感想を述べさせていただきたいと思います。
第52回ASHは2010年12月4日~7日までOrland,FloridaのOrange Country Convention Centerで
行われました。アメリカはもとより、国際学会に参加するのは初めての体験であり、会場の広さ、
人の多さ、何より人々の熱気に圧倒されました。ASHでは白血病、リンパ腫、骨髄腫、MDS、移植を
トピックとした、最新の情報に圧倒される教育講演、oral sessionを中心に拝聴しました。

白血病の分野で、寛解導入療法に関してECOGの645人を対象にした、標準量のシタラビンと45mg/m2
もしくは90mg/m2のダウノルビシンを組み合わせたstudyではCR rateが高容量群では70.6%、低用量群
では57.3%であり、grade3,4,5の有害事象は2群で大差がなく、高容量群の方が良好な成績を得られて
いました。また、シタラビンを増量することでより良好な寛解率を得られることも報告されていました。

また、CALGB のstudyで予後良好であるCBF白血病で地固め療法として標準的治療とされていたHDAC
療法は予後不良因子を有する例では、CRを維持するのに優れ ない、というのは感銘を受けました。
そのほかにも、現在進行中であるCALGBの10603 studyでFLT3陽性の白血病に対し、従来のDA療法にMidostaurin,sorafenib,AC220を組み合わせ、現時点ではCR,OS で良好な成績が得られ、今後の成績に
非常に興味がもたれました。MLL,NFκB,P-gp,LSCにもinhibitorを組み合わせた試験は行われていて
結果が待たれます。また、sorafenibに期待をしていたのですが、oral sessionでの報告で高齢者に対し、
sorafenibを使用した成績ではsorafenibによる毒性が強く死亡例も多く、再発率は低いものの、 CRrate,EFS,OSともに未使用群の方が良好な成績だったことに驚きました。

また、個高齢者の白血病に治療について、Dr.Selina M.Lugerは、APLを除くAMLでは
①80歳以上:clinical trial/low intensity therapyを行う。
②60-79歳:poor PS,予後不良な染色体をもつ場合はclinical trial/low intensity therapyを行い、
good PS,予後不良な染色体をもたない場合は標準量のアントラサイクリン+シタラビンの寛解導入
療法を行い、CRに到達すれば寛解後療法として1-2サイクル の中等量もしくは高容量のシタラビン
療法を行い、RISTを考慮すると提案しており、本邦に比べて積極的な姿勢に驚きました。

リンパ腫治療薬で新規抗CD20抗 体、Ofatumubmab,GA101,Veltuzumab,AME-133,抗CD22抗体
Epratuzumab,Bcl- 2inhibitor,Bcl-6inhitor,プロテアソーム阻害剤などの新規薬剤が、また再発・難治性骨
髄腫の治療では新規プロテアソーム阻害剤で あるcarfizomib、抗CD138抗体、BT-062,抗CD40抗体
SGN-40など、多くの薬剤についての報告がされておりました。今後の治療 成績向上への希望も強く感じ
ました。

また同じAwardを受賞された先生方との交流が深められたことはまたと無い貴重な機会となりました。
今回、このような機会を与えてくださったJALSG関係者の方々に深く感謝しいたします。この度はJALSG
Young Investigator Awardに選出してくださり誠にありがとうございました。今後、今回の経験を未熟ながら、
自分の経験に役立てていきたいと強く思います。