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水谷 信介先生(京都府立医科大学 血液腫瘍内科)

ASH2010 Report  京都府立医科大学大学院医学研究科 血液腫瘍内科 水谷 信介

このたびNPO-JALSG支援機構の御厚意により、2010年12月にオーランドで開催された
第52回米国血液学会(ASH)に参加させていただきました。以下に興味深かった演題と学会を通じて
感じたことを記したいと思います。

6 An Intergroup Randomised Trial of Rituximab Versus a Watch and Wait Strategy In Patients with
Stage II, III, IV, Asymptomatic, Non-Bulky Follicular Lymphoma (Grades 1, 2 and 3a). A Preliminary
Analysis


無症候性の低腫瘍濾胞性リンパ腫患者は早期に化学療法を開始しても生存に関するベネフィットがない
ことからwatch and waitの方針がとられることが多いが、診断後直ちにリツキシマブ治療を開始することで
化学療法や放射線治療の開始を延期できるかどうかの検討を目的に行われた第Ⅲ層試験の中間解析
結果。
2004年~2009年の上記患者463例(年齢中央値60歳)に関して、watch and wait(A群)、リツキシマブ
導入療法(B群)、リツキシマブ導入療法後に維持療法を2カ月毎に2年間行う群(C群)に無作為割り付け
の前方試験。
結果新規治療開始までの期間はB群、C群の期間はA群より有意に長く、PFSも同様の結果であった
(p<0.001)。3年OSは3群間に有意差なく95%であった。よってリツキシマブ導入療法は無症候性濾胞性
リンパ腫の新規診断患者における標準治療となる可能性がある

37 Phase III Intergroup Study of Lenalidomide Versus Placebo Maintenance Therapy Following Single Autologous Hematopoietic Stem Cell Transplantation (AHSCT) for Multiple Myeloma: CALGB 100104

多発性骨髄腫に対して自家造血細胞移植(auto-SCT)後のレナリドミド維持療法が無増悪期間(TTP)を
延長するかどうかを評価する第Ⅲ相試験。対象患者は、1)stage Ⅰ~Ⅲ 2)年齢70歳以下 3)2サイクル
以上の導入療法 4)SD以上の効果 5)治療開始から1年以下 6)CD34陽性細胞数が2×106/kg以上である。

460例が登録から90~100日後に、レナリドミド(10mg/日投与)群(231例)あるいはプラセボ群(229例)に
無作為に割り付けられた。auto-SCTから17.5ヵ月(中央値)の追跡期間で、TTPイベントはレナリドミド群で
は46例、プラセボ群では95例で発現し、ハザード比は0.40で、レナリドミド投与によってイベントの発現リスク
は60%に低下した(p<0.0001)。安全性に関しては、レナリドミド群の血液毒性、非血液毒性の発現率は、
プラセボ群に比べて有意に高かったがレナリドミド群で発現した有害事象は重篤なものは少なく、有害事象
に起因する治療中止は12%であった。以上より多発性骨髄腫患者におけるレナリドミド長期維持投与の
忍容性は良好で、auto-SCT後に維持療法としてレナリドミドを投与することでTTPが有意に延長すると考え
られた


初めてのASHということで意気込んで行きましたが、予想していた以上に会場は広く、
興味のある演題を見て回るにはなかなか大変でした。また電話帳のような抄録集に驚きましたが、
別にCD-ROMもあり、ノートパソコンは非常に便利でした。教育講演は2日間同じ内容のものがあり、
参加しやすかったです。ポスターセッションは特に印象的で、3日間毎日内容は別のもので圧倒的に数が
多く、また発表時間には皆ワインやビールを片手に自由なタイミングで個別にディスカッションがなされて
いました。

私もワインを飲みつつ勇気を出して優しそうな演者に質問を試みましたが、これはなかなかエキサイティング
な体験でした。和やかな雰囲気もありつつ、発表直前までポスターの掲示を控えている研究グループもあり、
医学研究の競争の熾烈さも垣間見たような気がします。また期間中にはJALSGから参加されている先生方
との交流会も催していただきました。同年代の先生方とも色々と情報交換ができ、JALSGの中心で活動され
ている先生方のためになるお話を聞けたり、とても有意義に過ごせました。

今回は初めてのASHということでその規模の大きさに圧倒されましたが、同時に内容のレベルの高さや、
さまざまな国の研究者と議論できるという国際学会の持つ醍醐味を肌で感じることができました。
次回参加時は是非とも自分の演題を持って、今回以上に深く参加できるように日々頑張っていこうと
思います。

最後になりましたが、今回御推薦戴きました谷脇教授、並びにこのような貴重な機会を与えて戴きました
NPO-JALSG支援機構の皆様方に厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。