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栗田 大輔先生(日本大学 血液膠原病内科)

ASH2010 Report 日本大学医学部附属板橋病院 血液膠原病内科 栗田 大輔

 この度はJALSG  Young Investigetor ASH Travel  Awardにより52nd ASH annual meeting and
 exposition に参加させて頂きこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。
 本学会の全体の感想として、とかく「スケールの大きさ」に圧倒された印象でした。過去の皆さまが
ご報告されているように会場は非常に広く、多種多様の国籍の方が多数集まり、最新の知見について
報告している様に圧倒致しました。
多国間にまたがった症例数の多い大規模な報告も多く、日本で未だに承認されてない新規薬剤の発表も
多数あり自分の無知を思いしらされました。その中で興味深かった「MDS」・「ITP」・「CML」の発表を簡易
ですが報告致します。ご参考にして頂ければ幸いです。

MDSの最新の知見~新薬を中心に~(Satellite symposium, Education program, Oral& Poster
sessionより) 

◎新規薬剤(Azacytidine(AZA), decitabine, Histone deacetylase(HDAC)inhibitor, lenalidomide)に
ついての評価

→MDSに対して脱メチル化剤(AZA, decitabine)およびヒストンアセチル化阻害剤(vorinostat等)・
免疫調節薬(lenalidomide)の臨床試験は複数の施設で行われているが、以前の報告のように本学会の
報告ではresponse に寄与したstudyは複数見受けられるものの有意に予後を改善する結果は得られ
なかったとの事です。
新薬以外の話題としては①EPO積極的投与(OSには寄与しないが輸血依存までの期間を有意に延長)
②遺伝子解析の重要性(DNAマイクロアレイ特にSNPアレイによる解析,plenary sessionではTET2変異
遺伝子の指標となる5-hydroxymethylcytosineの測定が紹介されていました)がありました。
以下にoralの発表を紹介します。

#Abstract 601(oral) 【High risk MDS or AMLに対するAZA±Entionstat(HDAC阻害剤) のTrialE1905
(Prebetら)】
従来の投与方法とは異なりAZA50mg/m2×10days単独とEntionstat を加えた群との比較試験。
C9221試験の報告に比べresponse(hematologic normalization)は2倍程良好であったがEntinostatを
追加してもresponse rate(CR・PR)は改善しなかった。

#Abstract 604(oral) 【High risk MDS or AMLに対するAZA+Vorinostat (HDAC阻害剤)の結果
(PhaseⅡstudy)( Garcia-Maneroら) 】
非常にHigh risk(PS 2以上,HIV+、重複癌あり等)症例に対してAZA+Vorinostatを投与。
17名解析し11名が60日以上生存し7名にCRを得て、治療関連死亡は1名であった。Zarcoma合併症例にも
有効であった。

#Abstract 439(oral) 【TET2変異を有するMDSのAZAの有効性について(ITZYKSONら)】
TET2野生株とTET2変異がある群とでAZAの有効性を比較した。TET2変異群がTET野生株に対して
AZAの有効性が高かった。ただしTET2群の方が複雑染色体を有する割合が少なく、AZAの投与回数も
多かった。また2群でのOSの有意な差は認めなかった。

難治性ITPに対するトロンボポエチン(TPO)受容体作動薬の臨床試験
#Abstract 67(oral) 【難治性慢性ITPにおけるEltrombopagの効能についてstudy(SALEHら)】
経口非ペプチドTPORアゴニストであるEltrombopagの安全性および効能を調査したstudy。
2006年-2010年のongoing open label dose adjusting study。約50%になんらかの前治療を有している
患者群を対象とし(n=299)、Eltrombopagを50mgから開始し血小板数に応じて調節した。
88%がPlt≧5万となり約4週間でPlt≧5万となり10週間で10万以上になるケースが多かった。
45%が前治療を中止した。副作用として頭痛(27%)と多く21名に血栓症(DVT9名,MI4名)も生じたが
血小板上昇に関連しなかった。またEltrombopag投与後1年の骨髄検査では明らかなレクチリン線維の
増加は認めなかった。

#Abstract 68(oral) 【難治性ITPにおけるRomiplostimの安全性および効能の最終報告(KUTERら)】
ペプチドTPORアゴニストである Romiplostim (weekly s.c.) の最終報告(2004年-2010年(277週))。
292名解析,32%に脾摘の既往があり。Romiplostim投与により94.5%がPlt≧5万となり、81%の患者が
前治療を中止または減量が可能となった。Severe adverse eventとして2名MIあり(いずれも死亡、
治療関連が疑われた)。少数の骨髄検査ではあきらかなレクチリン線維の増加は認めなかった。
Romiplostimは非常に有効であり自宅での投与も可能と判断された。

難治性CMLに対しての新規薬剤について
#Abstract210(oral) 【難治性CMLおよび他の血液悪性腫瘍に対してPonatinib(AP24534)のPhaseⅠ
Trail(Cortesら)】
前治療(TKI2剤以上)に抵抗性のある難治性CMLに対して新規TKIであるPonatinbの安全性および効能を
評価したphase 1study。74名の患者(CML(BP含む)60名・Ph +ALL 4名・AML 6名,2剤TKI耐性=95%,
3剤TKI耐性=68%, BCR-ABL mutation 72%,T315I  mutation 28%(mutationの中で最多), F317L mutation
11%)に対してPonatinib経口投与した現在進行中の前向き試験。DLTは膵炎(10%)であり可逆的であり
中止例は26例に見られた。ResponseではCML(CP)ではCHR=95%,MyCR=60%でありT315Imutation例
はn=9と少ないもののCHRおよびMyCRはともに100%であった。全体としてT315I mutationを有するものに
対して81%のresponseあり、用量は45mg/dayが推奨された。