よりよい白血病治療のために
HOME >> 海外学会報告 >> ASH参加報告 >> 2010年 >> 市原 弘善先生(府中病院 血液疾患センター)

市原 弘善先生(府中病院 血液疾患センター)

ASH2010 Report  府中病院 血液疾患センター 市原 弘善

この度、JALSG支援機構より研修費補助を受け、2010年12月第52回ASHへ参加させていただきました。
ASHに参加させて頂く機会を作って頂いたJALSG支援機構の先生方・事務局の皆様に皆様に深く感謝
致します。

 ASHはフロリダ州オーランド、オレンジコンベンションセンターで行われました。
事前にフロリダの気候など調べていったものの、想像よりも寒くワイシャツ、ジャケットでは肌寒い気温
でした。まずは第1日目~3日目午前までは教育講演を主体に、第3日午後~4日目午前は研究発表を
主体に、第1~3日目の夕刻には、ビールやワインを片手にポスターセッションで議論を交わすことが
メインのスケジュールでした。
5000人以上収容の教室での教育講演、ポスターセッションでも数千~数百の症例の後方視的研究や
PhaseⅠ/Ⅱの治験が多々あるなど、国際学会としての規模の大きさや研究の規模に驚きを感じました。
その中で印象に残ったsessionを数本報告させていただきます。

 教育講演(Understanding and Managing Ultra High-Risk Hematologic Malignancies Description)
では、24ヶ月以内に死亡した骨髄腫患者さんの後方視的研究ではdel(17)、
genetic change、copy number abnormalitiesが指摘されており、こういった症例では同種移植を考慮が
必要でOSも30~40%程度確保できるとの報告でした。
多発性骨髄腫は緩徐な進行が多くTRMの問題もあり、同種移植の適応は非常に難しい問題であると
考えます。
その中でも急激な進行を示す症例もあり同種移植の適応を上記のようにより明解にしていくことも
重要であると考えました。
また、日本では骨髄腫加療薬といったレナリドマイド、ボルテゾミブが、悪性リンパ腫や白血病の他剤併用
治療薬として臨床試験が開始されていることも驚きを感じました。

 演題番号285:
Multicenter Phase2 Study of KW-0761,a Defeucosylated Anti-CCR4 Antibody,In Relapsed patients
with ATLL.では抗CCR抗体で平均158日のPFSが得られ約30%は270日以上の病状進行を認めなかった
との報告でした。
CHOPレジメンでの報告とほぼ同様のPFSであったことを考慮すると単剤では十分な効果と考えられます。LSG15との併用試験も開始されておりその効果に期待されるとの報告でした。約30%は270日以上の
病状進行に関しては更なる症例の検討が必要であると考えますが、抗CCR抗体の早期の市販化が
期待されます。

 ポスター(One-Year Post-Transplant Serum Ferritin Level Is a Predictor of Long-Term Survival
Following Allogeneic Transplantation)では同種移植後637人の研究で1年後のフェリチン値>1000ng/ml、
急性白血病、MDSの診断が予後不良因子であったとの報告でした。
移植前のフェリチン値での予後報告近年多数あるものの、移植以後の報告は調べうる限りなく、
今後同種移植後の鉄管理の重要性を示唆するものであると考えられました。

 完成度が高く、また規模の大きい研究が多く、今後の臨床研究に対する強いモチベーションをあげること
ができた4日間でした。ただ、欧米の先生方が積極的に質問していることを見て、英語力不足で教育講演や
研究発表で質疑ができなかったことを後悔する一面、今後英語でのコミュニケーションの必要性を実感した
4日間でもありました。

 最後に、繰り返しとなりますが、貴重な経験をさせていただきました関係者の皆様、
本当にありがとうございました。