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日本大学 血液膠原病内科  三浦 勝浩先生

ASH2009 Report  日本大学医学部内科学系血液膠原病内科  三浦 勝浩

今回JALSG Young Investigator ASH Travel Awardより第51回米国血液学会学術集会に参加させて
いただく機会をいただき、この場をお借りしてお礼申し上げます。いくつか印象に残った演題のう ち、
まず我々が同学会で発表した内容につき紹介したいと思います。

今回我々は当施設で診断された65歳以上のDLBCL80例を後方視的に解析した結果、心疾患・糖尿病・
脳血管疾患など併存疾患をスコア化したCharlson Comorbidity Index (CCI)がIPIと独立して予後不良因子
となりうることを報告し、幾つか採択された「臨床的に重要なアブストラクト」のひとつとして評価をいただき
ました(#3923)。
本研究では78%の患者がR-CHOPで治療されていますが、CCI2点以上は多変量解析で有意に死亡リスク
の上昇と関連し(HR 3.20, 95%CI 1.28-7.41, p=.0145)、特にrevised IPIでpoor riskの患者群においては
3年OS 14% vs 56% (p=.0358)と非常に予後不良でした。今後は治療戦略の組み立てにこのような併存
疾患のスコア化が重要な目安となる可能性があると考えられます。このようなComorbidity Indexを用いた
同様の臨床研究が多発性骨髄腫やMDSなどについて、今年は十数題の演題がありました。その全ての
発表を見ることはできませんでしたが、米国、中国、イタリア、ドイツ、ペルーなど各国の研究者と意見の交
換が出来たのは非常に良い経験となりました。

高齢者DLBCLに関しては、ドイツのグループよりR-CHOP14 vs R-CHOP21のランダム化比較試験の結果
について、若年者とは異なりR-CHOP14の毒性が高く、OS、EFSともに有意差が無かったことが報告さ れ
ました。この結果より、高齢者DLBCLにおけるR-CHOPの標準治療としての位置づけがより確固たるもの
になったと考えられました。また高齢者にお いては依然としてドキソルビシンによる心毒性が問題となりま
すが、ブリティッシュコロンビアのグループからは、そのような標準的R-CHOPが不耐応の心 疾患をもつ
患者81例に対してドキソルビシンをエトポシドで代用したR-CEOPの結果が報告されました(#408)。
この研究では、同時期のR- CHOPを受けたヒストリカルコントロールと比較して5年TTPは57% vs 62%と
比較的良好でした。5年OSは49% vs 64% (p=0.02)とやや劣りますが背景にある心疾患の影響を考えると
有用な代替療法であると考えられました。
リツキシマブの導入以降、若年者においてはほぼ標準的治療が確立されつつあるDLBCLですが、以上の
ように高齢者や併存疾患のある患者に対しても新たな EBMが確立されつつあり、今後ますます活発になっ
ていく分野であることが感じられました。その他、重要な演題が多数ありましたが他稿に譲りたいと思います。

また同じAwardを受賞された先生方との交流が深められたことはまたと無い貴重な機会となりました。
JALSG関係者各位、現地でお会いした先生方の益々のご活躍を願い、またの再開を楽しみにしております。