よりよい白血病治療のために
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永田 泰之先生 (浜松医科大学腫瘍センター)

 

この度、916日から20日までHouston中心部にあるHilton Americas Hotelで開催されたSociety of Hematologic Oncology (SOHO) 2014 annual meetingに参加させていただきました。今回はSOHOよりYoung Investigator Travel Grandとして旅費、abstractが採択されれば登録費免除ならびに宿泊費の半額のご支援を戴きました。

SOHO annual meetingについてご説明させていただきますと、MD Anderson Cancer Centerが中心となり昨年から開催されている造血器腫瘍に関する学会で、本年が第2回の開催となります。ASHと比べると規模は小さいですが、一つのメイン会場で4日間に渡り開催され、密度の濃い内容となっています。朝7時からのmorning lectureに始まり、昼はluncheon seminarを挟んで18時頃までsessionが続きます。その後に製薬企業主催のindependent satellite symposiumがあり、20時過ぎまでみっちり勉強することができました。

SOHOの特徴としては、臨床に主眼を置いていることが挙げられます。各sessionは疾患毎に約半日ずつ割り当てられており、各分野のexpertからの15分ずつの講演で構成されています。そして、各session ”How I Treat my Patients with ~” という演題で始まり、各疾患の現時点での標準とされる治療のレビューがあり、その後に関連topicsや臨床試験、新薬などの演題が続くように構成され、各疾患の現状と問題点、将来像、最新の話題について学ぶことができました。また、各sessionの最後にはdebateプログラムが用意されており、「通常の化学療法の適応とならない高齢者AML患者においてメチル化阻害剤は標準治療となるか?」、「骨髄腫は治癒するか?」、「MCLASCT併用大量化学療法が可能な患者にはCR1で移植すべきか?」など興味深いテーマに対して、演者が肯定・否定の立場でプレゼンテーションし、会場もキーパッドによるアンケート形式で参加します。プレゼンテーションの前後で会場の意見が大きく変わることもあり、非常に盛り上がりました。

聴講した中で興味深かったこととしては、現在開発中の新薬・治療についての情報です。日本では症例数が少ないですがCLLにおいて、抗体療法(InotuzumabBlinatumomab)やBcl-2阻害薬のABT199、免疫療法として注目されているChimeric Antigen Receptor T cellCAR-T)などの開発が進んでいるようです。これらは、CLLのほかでもALLMLなどのリンパ系腫瘍においても同様に研究が進んでおり、近い将来の治療が大きく変わる可能性を感じました。

Poster sessionには、自分を含めて129の演題がありました。アメリカ国内(特にMDACC)からの演題が多いのは当然かもしれませんが、世界各国から演題が出されていました。そのなかでも日本からの演題は2題のみであり、少し寂しい印象でした。

Welcome Receptionでは、大野先生よりSOHOを主催されているMDACCDr. Kantarjian、白血病化学療法のlegendであるDr. Freireichなどご高名な先生方を紹介していただきました。また、学術的な講演ばかりではなく、morning lectureでは、白血病治療の基礎を築かれた先生方の実体験を直接聴かせていただく機会もあり、過去の白血病化学療法が確立される以前の時代を知らない世代には非常に貴重な機会でした。

全体を通しての感想ですが、MDACCを中心に血液腫瘍全般に渡り、臨床的側面を中心に現在そして将来の治療を考えるための勉強会のような学会であり、知識の整理のみならず、最新の動向を学ぶことができて有意義でした。日本からの参加者が非常に少なく、本会十分に認知されていないのが残念でした。若手の臨床家・研究者ともに多くの方が参加して日本からも情報発信できように盛り上げていけるとよいと思いました。