よりよい白血病治療のために

おわりに

 白血病について、なるべくわかりやすく解説したつもりですが、やっぱり難しくなってしまったようです。慢性骨髄性白血病については、CMLステーション(http://www.cmlstation.com/index.html) でも分かりやすく説明しています。逆に、ちょっと物足りないと思われた方は、「参考書・サイト」の参考書を読んでください。また、JALSGのホームページ(http://www.jalsg.jp/treatment-results)には、JALSGの最新の成績が示されています。
小児白血病については、小児白血病リンパ腫研究グループホームページ (
http://www.jplsg.jp/)や東京小児がん研究グループホームページ(http://www5f.biglobe.ne.jp/~tccsg/frame.htm) に成績が示されています。
  このページを読んでおられる方の多くは患者さんかその家族ではないかと推察しています。どうか、白血病になったからといって絶望することなく、最良の治療を受けることが出来るよう、血液専門医のいる病院を訪れて下さい。

  現状では、ほとんどの患者さんを完全に治すことのできる白血病は、小児の急性リンパ性白血病と小児・成人の急性前骨髄球性白血病に限られています。これらに加えて、慢性骨髄性白血病も薬だけで治せるようになったと思われます。
これらの白血病は治すことができる病気ですから、治るつもりで専門医の治療を受けてください。

 その他の白血病は、治る患者さんも30~40%は、いるのですが、ほとんどの患者さんを治せるわけでないため、より多くの患者さんを完全に治すためには、どんな治療法がよいかを模索しているのが現状です。ほとんどの患者さんを完全に治すことのできるようになった小児急性リンパ性白血病や急性前骨髄球性白血病でさえ、より多くの患者さんを完全に治し、かつ、できるかぎり副作用の少ない治療法を目指して検証的臨床研究が続けられています。

  どの治療法がよいかを決めるには、多数の患者さんの協力を得て行われる大規模な比較研究が必要です。わが国では成人白血病に関してはJALSGのみが大規模研究を行っています。小児に関しては小児白血病リンパ腫研究グループや東京小児がん研究グループなどがあり、よりよい治療法を見つけるための比較研究を行っています。
  もし、主治医から比較研究に参加して下さいと頼まれたら、ぜひ参加していただきたいと思います。自分自身のためにも、そして将来自分と同じ病気に罹る人のためにも、どんな治療がよいかというエビデンス(証拠)を作ることが必要なのです。
逆に、比較研究の話が出なかったら、その病院は白血病の専門病院ではないかもしれません。真の専門医なら日本でのエビデンスを真剣に求め、自らも参加し苦労して得たエビデンスを自分の患者さんの診療に当てはめようと努力しているからです。
JALSG 参加施設はJALSG のホームページに載っていますから見て下さい。
  白血病を完全に治すためには、初期治療が最も大切です。再発後は治癒が得られるような治療法は骨髄移植療法を除いてほとんどないと思って下さい。初期治療をキッチリやってくれる経験豊富な専門病院にかかることが必要です。
 私はEメールでのご相談は、原則的にお断りしています。患者さんの情報が十分でないこともあり誤解を生ずる可能性が大きいと思われるためです。しかし、今はセカンド・オピニオンと言って、他の専門医の意見を聞くことがむしろ推奨されています。もし治療に疑問があれば、主治医に正直に疑問点を話し、セカンド・オピニオンを聞くための紹介状を書いてもらい、それを持って専門医の所に相談に行かれるとよいと思います。私も毎週火曜日に愛知県がんセンターでセカンド・オピニオン外来を開設していますので、電話(052-764-9897)で予約をしていただければ、喜んで相談に応じます。

  ただし、再発したり標準的治療法に難反応性となっている場合は、現在では、完全に治すような治療法は、どの病院にもないことは知っておいて下さい。そのような患者さんには、新しい薬の治験を受けられることをお勧めします。効くかどうかは判らない段階ではあっても、効かない治療を受けるより、ずっと希望が持てると思います。
  モルモットにされると危惧される方もいますが、現在、治験を行っているような薬は、モルモットでの毒性試験をとうに終え、サルを使った毒性試験で安全を確認し、副作用面でもまず大丈夫だろうと考えて臨床の場に持ち込まれた薬です。
新白血病薬の臨床開発には、何百億円もの開発費用がかかりますので、開発企業は効くか効かないか全く分からないような薬の治験は行いません。勝算のある薬しか治験しないのです。ですから、再発したり標準的治療法に難反応性になった場合は、積極的に治療に参加することをお勧めします。
発売の2~3年前からイマチニブの治験に参加した患者さんのほとんどは、10年以上を過ぎた今もお元気です。

  新聞や雑誌などで、がんや白血病が奇蹟的に治るようなセンセ-ショナルな宣伝文句をならべて、薬や本を売ろうとしていることがよくあります。私達も、いわゆる民間療法が白血病に効くかどうかの質問をよく受けます。科学的な比較研究によって確かめられていないかぎり、そのような治療法や薬はまず効きません。いわゆる民間治療法の中で、比較研究によって、白血病に対して効果が確かめられたものは、私達の知るかぎりないと断言できます。
  もし、本当に効くものであれば、正式認可を受ければ全世界で販売できるため大儲けできるわけですから、正式な認可を求めての治験をするはずです。その勝算がないために、正式認可を求めていないのだと理解してください。

  民間療法を行っても、専門医の治療を止めたりしないかぎり、多くの場合は特に悪いことはありません。しかし、効かない薬に大金を使われるなら、おいしい物を食べたり、音楽会に行ったり、旅行にでも出掛けられたり、研究を推進するために寄付して頂く方が、より有効なお金の使い道であると思っています。

  急性前骨髄球性白血病に対するレチノイン酸療法や慢性骨髄性白血病に対するイマチニブの出現により、この二つの白血病の治療成績が劇的に向上したことでもお判りのように、医学は日進月歩しています。このウェブサイトの前版(改訂第4版、2009年2月)には、レナリドマイドやアザシチヂンの説明はなく、骨髄異形成症候群のよい治療薬はありませんと書いてあっただけですが、今は二つの有効な薬が使えるようになりました。

   どうか希望を棄てないでがんばってください。 
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